一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)One grain ten thousand times a day
一粒万倍日について
古くから日本の暦には暮らしに役立つ情報が歴注が書かれていました。
歴注には上中下段と3段に情報が分かれています。
上段には日付・曜日・二十四節気(立春など)、七十二候などの科学的・天文学的な事項や年中行事が書かれ、中段には十二直(最近はあまり使用されなくなりました)、下段には選日(一粒万倍日など)・二十八宿・九星・暦注下段などの事項が書かれています。
一粒万倍日は「暦注下段(れきちゅうげだん)」に含まれまる選日のひとつです。
選日(せんじつ)は、暦注上で旧暦の干支の組合せによってその日の吉凶を占う物で、六曜・七曜・十二直(中段)・二十八宿・九星・暦注下段以外の物の総称です。
暦注下段に書かれる吉凶で縁起が良いとされる吉日が一粒万倍日です。
一粒万倍日の意味
一粒の種子をまけば万倍になって実るという意味です。
そのことから、一粒万倍日は何か増やすもの、大きくなることなどを始めるのに良い日とされ、特に仕事始め、開店、種まき、お金を出すことに吉であるとされています。
しかし、借金をしたり人から物を借りたりすることは苦労の種が万倍となってしまうためによくないと言われます。また同じ意味合いで、借りを作る、失言をする、他人を攻撃する、浪費などもトラブルが倍増するため避けるべきとされています。
一粒万倍日は数が多いことから他の暦注と重なる場合があります。
大吉や天赦日などの吉日と重なると一粒万倍日の効果が倍増するといわれます。(当サイトでも複合する吉日をリストに挙げています。)
逆に凶日と重なると…二つの解釈があります。
凶日の縁起の悪さを万倍に強めてしまうという考えがある一方、凶日の縁起の悪さを打ち消す、または半減するという考え方もあります。
そもそも、吉日凶日を決定する起源が異なるため、暦上にこのような真逆なことも起こりますしどちらが正しいとはいえないものです。縁起を担ぐという意味では、ご自身が腑に落ちる考え方に沿っていただくのがよろしいかと思います。
私は、極端な言い方になりますが、必要以上に凶日を恐れる事はないと思っています。
不成就日も過去には「迷信的」ということで、何度も暦から削除されたことがあるそうです。暦作成が朝廷や幕府の手を離れ、民間で行われるようになってから復活してきたものです。
消し去る事はない風習としても、凶日に左右されて何もできない…というのもおかしなことになってしまいます。
凶日として派手な事、大きな事は控える、ゲン担ぎとしては気を付けたい一日…そんな風に考えています。
ご参考になりましたら嬉しいです。